注文住宅を建てるときの失敗って、大体おなじです。
ハウスメーカーや銀行の人も、うんざりしています。
事前にちょっとでも調べておけば、或いは、営業や設計の言うことを聞いてくれていれば…。簡単に避けられることなのに、毎年、同じような「失敗」や「後悔」が聞こえてくる。
もちろん、どれだけ対策しても失敗するときは失敗しますし、住んでみないと分からない後悔もたくさんあります。
だけど、全体の90%は、以下の3つのパターンに分けられます。
- お金の失敗
- ハウスメーカー選びの失敗
- デザインと利便性の失敗
この3つだけでも覚えおけば、家づくりに失敗する可能性がガクッと下がるでしょう。
ブログ 後悔 間取り
【1】お金の失敗
お金の失敗を嘆く人はめちゃくちゃ多い。
理由は非常にシンプルで「数字になって表れるから」です。
ぶっちゃけ、あとで紹介する「ハウスメーカー選びの失敗」とか「間取りの失敗」って、目を背ければ我慢できるんです。だけど、お金の失敗だけは向こう数十年ずっと付いて回ります。
お金に関してだけは絶対に失敗しないように、
- 予算オーバー
- 住宅ローン
この2つにだけは気を抜かないでください。
【case1】当初の予算よりも900万円アップ
床面積40坪、建物予算2500万円で考えていました。
価格的に中堅メーカー以下しか無理かなーと思っていましたが、偶然入った積水ハウスで「2500万円ちょっと超えでいけます!」なんて言われて舞い上がっちゃってそのまま契約。
業界トップの積水ハウスで建てられるのが嬉しくて、提案される外装内装も素敵でテンションあがりっぱなしだったんですが、付帯工事費込みで最終の見積もりは3400万円…。
いや、途中でもう分かってたんで被害者みたいに言うつもりはないんですけど、本当に最低限のラインで予算出されても厳しいですよね。結局、理想を出していけばオプションとか加わっていくわけですし。
家自体はめちゃくちゃ理想だったんでそのまま建てたんですが、子供も大きくなってきて、ちょっと厳しくなってきたなーってプチ後悔中です。
37歳/女性
「当初よりも予算が上がってしまった…」って後悔はめちゃくちゃ多い。
と言うのも、ハウスメーカーが最初に出してくる予算って「最低限」なんですよね。設備は最低限ですし、安く見せるために広さも控えめです。
だから「積水ハウス」や「ダイワハウス」みたいな高級ハウスメーカーでも、
「あれ…意外といけるかも…?」
みたいに思ってしまう。
ところが、細部を詰めていくうちにどんどん予算はあがっていく。当初の見積もりに「付帯工事費」や「外構費」は入っていないことに気付く。そして、最終的な見積もりは…口コミの通りです。
そのため、大抵の人は「ローコスト〜中堅ハウスメーカー」あたりで余裕をもった見積もりを出してもらい、そこからオプションを重ねていった方が満足度は高くなります。
【ローコストハウスメーカーの例】
→タマホーム、アキュラホーム、アエラホームetc
【中堅ハウスメーカーの例】
→ミサワホーム、一条工務店、ヤマト住建etc
もちろん、
「我こそは金持ちである!」
「最低限の設備でも高級ハウスメーカーで建てたい!」
みたいな人は高級ハウスメーカーを選ぶのも"あり"です。
【case2】住宅ローンに通らなかった
転職1年目を甘くみていました。
自分で言うのもあれなんですが、けっこう良い大学出て、良い会社に入ってたんで住宅ローンに通らないなんて考えていませんでした(笑)
メガバンクに行った知人に勧められて「◯◯の年収なら余裕だよー」なんて言われてたんですが、転職1年目ってことを伝えてなかったんですよね。
ハウスメーカーの人も年収を見て「問題ないですねー」って言ってたんですが、結局ダメで。やっぱりどれだけ年収があっても、勤続1年以下ってのは銀行の評価下がるんですよね。
大慌てで地銀に申請し直して、そっちでは何とか通ったんですけど、想定していた金利より0.3%も高くなりました。
この超低金利時代では誤差と言えば誤差ですが、やっぱりちょっと後悔というか、損をした気分にはなりましたね。
32歳/男性
住宅ローンでの失敗も"あるある"です。
大抵の場合、ハウスメーカーの営業の方が年収や勤め先に応じた予算計画を建てるので「予定していた住宅ローンに通らない!」なんてのは"稀"ですが、「予定していた金利にならない!」くらいはめちゃくちゃ多い。
と言うのも、今の金利って、
「基準金利から、どのくらい優遇するか」
を相手によって変えるんです。
例えば、三菱UFJ銀行の基準金利(変動)は「年2.475%」です。
この「2.475%」から、各銀行が独自に決めた基準で金利を優遇していきます。
【金利優遇の例】
- 年収400万円以上(-0.5%)
- 勤続3年以上か(-0.3%)
- 自己資金保有割合は5%以上(-0.3%)
- etc
銀行にもよりますが、最も優遇される場合で「約0.5%」になります。
そして、ハウスメーカー側の返済例はこの「0.5%」で組まれることが多いんです。金利は低ければ低いほど、毎月の返済額も低くなりますからね。
それなのに、最終的に「1.5%」で組んでしまえば大変です。
35年ローンにおける返済額は大きく変わってしまいます。
【借入4000万円金利0.5%】
→総返済額4300万円 10万円/月
【借入4000万円金利1.5%】
→総返済額5100万円 約12万円/月
ここで覚えておきたいのは、
「あなたを評価してくれる銀行がある」
ということ。例えば、メガバンクは「基本金利低めだが、大手企業に優しく自営業に厳しい」とか、地方銀行は「基本金利高めだが、中小企業勤務や自営業に優しい」とかですね。
銀行をいくつも比較するのは大変なので「住宅本舗」などの金利一括比較サービスを使うのがオススメです。
【2】ハウスメーカー選びの失敗
ハウスメーカー選びを失敗する人も多い。
ハウスメーカーによって、見積もりは全然違います。そして、標準となる設備も全然違う。
こっちは坪単価50万円。あっちは坪単価60万円だけど、制振ダンパーと2階トイレが標準でついてくる。あれ、坪単価50万円の方にオプションで制振ダンパーを付けるといくらになるんだ…?
考えだすとキリがありません。
ここからは、ハウスメーカー選びのよくある失敗例を2つ紹介します。
【case1】住宅展示場を回りすぎて最後は投げやりに
絶対にハウスメーカー選びを失敗しないように、と考えておりました。
仕事も退職して、建て替えの期限もないため時間に余裕もありました。スーモさんの相談窓口にも行って、そこで五社。もともと知人の紹介で目をつけていた工務店も三社チェックしました。
住宅展示場に行って、予約なしで入ったところも含めれば合計で十社を超えていたでしょうか。
分析力には自信がありましたので、一社ずつきっちりお話をして検討しました。しかし、一社あたりの打ち合わせが約二時間、見ているハウスメーカーは十社以上、途中で打ち切った会社もあるとは言え各社平均して三回の打ち合わせを行っているうちに、段々と妻の顔に疲弊が見え始めました。
お恥ずかしながら、私も妻の態度に腹が立ち、途中からやや投げやりに。
素人目には違いが分かりづらい上、どこの担当者の方も、自社の設備が優れているような言い方をするので、何が正しいのか分からなくなってしまいました。
幸い、予算は平均以上にありましたので、絶対に失敗のないよう知名度も坪単価も高いダイワハウスさんで決めました。
ダイワハウスさん自体に後悔があるわけではありませんが、お金で失敗を避けたような形になったことは否定できません。結局勧められるがままに軽量鉄骨にしたのですが、事前の調べでは木造にする余地絵で、そこまでは必要のないはずでした。
明確な後悔、失敗はしておりませんが、当初の予定通り検討できていれば、もう少し賢い買い物が出来たのではないかとも思います。
私個人としては、打ち合わせを行うハウスメーカーを多くしすぎないように、とお伝えしたいです。
61歳/男性
ハウスメーカーでの打ち合わせは、めちゃくちゃ疲れます。
先ほどの話にもありましたが、1回の打ち合わせは約2時間。検討の段階でも3回〜5回ほどは打ち合わせを行うのが普通ですので、10社も検討すればハウスメーカー選びだけで30回も打ち合わせを行わなければいけない。
これ、本当に疲れます。
そのため、「実際に会って打ち合わせをするハウスメーカー」は5社以内がベストです。
それ以上を見ていると本当に疲れるだけ。まずは5社を見る。万が一、その中で気に入った会社がなければ次の5社を見る。みたいな形が良いでしょう。
【case2】契約してから別の良いハウスメーカーを見つけた
両親に勧められて、地元の小さな工務店で新居を建てることになりました。
家を建てるまでは全然家に詳しくなかったので、その工務店で建てることに何の不満もありませんでした。
打ち合わせは社長さんがしてくれるのですが、元職人さんの社長さんなのでぶっきらぼうで自分の考えを押し付けてくる感じがちょっとイヤでした。でも、それが普通だと思ってたんですよね。どこもそんなものなのかなーって。
考えが変わったのが友達のインスタを見たときです。
友達は大手のタマホームさんで建てていたのですが、若い女性の営業の方と楽しそうに打ち合わせをしていたんです。扉とか壁紙も種類が豊富で、アドバイスもしっかりもらえてたみたいで。
私たちの家は、社長さんにカタログだけ渡されて「好きなの選んで」って感じで、意見を聞いても「どうせ飽きるから無難なやつのが良い」って言われて、そういうものなのかなーって選んじゃったんです。
だけど、やっぱり友達の家を見たら、おしゃれで注文住宅らしいデザインなんですよね…。
私たちの家も悪いものは使っていませんし、元職人さんの社長なのでモノは良いんです。でも、友達の家と比べるとやっぱり見た目のおしゃれさはどうかなーって。
おしゃれな家は飽きるのかもしれませんが、一生に一度の買い物だったので、そういう選択肢もしっかり見てから選びたかった気もしますね。
28歳/女性
大手ローコストハウスメーカーのコスパは凄まじい。
上記でも出ている「タマホーム」を筆頭に「アキュラホーム」や「アエラホーム」ですね。
これらのハウスメーカーは、大量施工大量発注によって単価を抑え、地域の工務店では実現できないほどのコストパフォーマンスを実現しています。
一言で言えば、
「安いのに、打ち合わせが丁寧で設備が良い」
という訳です。
そのため、家を建てる前には、目当てのハウスメーカーがあっても「大手ローコストハウスメーカー」にも見積もりを頼むがのオススメです。
【3】デザインと利便性の失敗
予算もばっちり、ハウスメーカー選びも大正解。それでも、家作りが失敗することはあります。
注文住宅のメリットは「自由に作れること」 デメリットは「自由に作れてしまうこと」です。
プロが作った建売は利便性に特化しています。
ところが、中途半端に素人の意見を反映した注文住宅は、利便性を犠牲にしていることが多い。好きな場所に好きなものを配置する、それが便利かどうかは住んでみないと実感できないのです。
ここからは、家を作ってからの後悔を紹介していきます。
【case1】間取りをもっと吟味するべきだった
和室とリビングを分けたのが失敗でした。
間取りを作る段階で、
- リビングに隣接した和室
- リビングから離れた和室
このどちらを作るかで悩んでいました。
リビングに隣接させるのならば、客間というよりも寝転べるスペース。リビングから離すと客間として使えるスペース、という認識です。
生まれ育った田舎の家には客間があったので、妻とも相談してリビングから離して和室を設定。その結果、普段の生活でまったく使わないデッドスペースと化してしまいました…。
やはり、家に限らず「何かのときに使うかもしれない」というのは全く使いませんね…。それを注文住宅で作ってしまったのが最大の失敗でした。
和室を離して作ったせいで玄関が若干狭くなる、水回りの動線も一方通行、などの弊害も起こっているので、間取りだけはもっと吟味するべきだったと思います。
44歳/男性
ちなみに、和室がリビングに隣接した間取りは以下のイメージ。
リビングと和室を離した間取りは以下のようなイメージです。
どちらが良いかは人それぞれですが、近年はリビングに隣接した和室が主流ですね。
このあたりの感性は、本当に建てて住んでみないと分かりません。
間取りを確定させる前に、自分たちには何が必要かしっかり吟味することが大切です。
【case2】デザインではなく利便性を取るべきだった
私、かなり家に対する理想が大きかったんですよね。
2年くらい構想していた家で、ずっとインスタとか見て間取りの勉強してたんです。
それで、広くて大きなリビングと、アイアン手すりをつけたオープン階段に憧れて、住友林業さんでそれを実現できる間取りを作ってもらってたんです。
作ってもらった間取りは本当に理想的で、すぐそれで作ってもらうようお願いしました。
その時、本当は担当の方に「リビング階段は暖房効率が悪い」「アイアンの手すりはお子さんが危ないかもしれない」って言われてたんですけど、ずっと憧れだったんでそのままお願いしました。
家が出来た直後は本当に嬉しくて、楽しくて、友達にもむちゃくちゃ自慢して本当に楽しかったんですけど、いざ冬が来ると暖房つけてもリビングがなかなか暖まらないんです。
二階から冷気が降りてくる感じで、あーこれは失敗だったかなーって思ってたら、つい最近チビがアイアンの手すりに頭ぶつけてケガしちゃって、本当に担当の人が言ってた通りになっちゃったなーって。
リビングは24疊でかなり大きくとってるんですけど、そのせいで諦めた収納とかもあるんですよね…。
友達が最近ミサワホームで建てたんですけど、その友達はオシャレとか疎い子で、担当の人に言われるがままに便利な作りにしたみたいで、こないだ見に行ったんですけど確かに便利っちゃ便利だと思うですよね。
今はまだ後悔ってほどじゃないんですけど、もうちょっと利便性とかも考えて作ってもよかったかなって思います。
26歳/女性
リビングのオープン階段は、以下のようなイメージですね。
オープン階段はおしゃれですが、部屋の熱が逃げていくため不用意に作るのはオススメしません。やるなら全館空調とセットの方が良いでしょうね。
ちなみに、現代の「利便性を重視した一軒家」は以下のようなイメージ。
リビング、和室、洗面室、キッチンの出入り口を複数作って「生活動線」を重視した作りです。おそらく、大きめの土地で「プロのおすすめ」みたいな間取りで作れば、ほぼこの形になります。
「デザインか、利便性か」
これは永遠のテーマです。ただ、向こう30年のことを考えると、利便性を重視した方が満足度は高い傾向にあります。
加えて、利便性を重視しても「壁紙」や「床材」「家具」などでデザインを楽しむことが出来る。
反対に、間取りでデザイン性を追求すると、それ以外のものが全て犠牲になります。そのため、基本的には、
「間取りは利便性で選ぶ」
が正解です。
まとめ
注文住宅を建てるときの後悔は様々ですが、大抵は、
- お金の失敗
- ハウスメーカー選びの失敗
- 利便性とデザインの失敗
この3つに絞られます。と言うか、この3つだけはやり直しが効かないのです。
ただ、やり直しが効かずとも、しっかりと吟味すれば失敗を避けることは可能になります。
注文住宅は一生で一度の買い物になるかもしれないので、第三者に任せっきりにせずに、自分でしっかりと考えて建てるのがオススメです。