住宅メーカーには独自の「標準設備」が存在します。
設備とは、
- キッチン
- お風呂
- 洗面台
- トイレ
- 玄関ドア
- 窓
これらを示すのが一般的。
設備のグレードはピンキリです。キッチン一つを見ても、最低ランクと最高ランクでは100万円以上の価格差が生まれることも少なくありません。
そのため、Aメーカー(建物価格2000万円)とBメーカー(建物価格1600万円)を比べたとき、一見Bメーカーの方がお得に見えても、
【Aメーカー】
→設備は全て最高グレード。必要なものは全て「標準設備」に入っている。
【Bメーカー】
→設備は全て最低グレード。必要なものは「オプション扱い(プラス600万円)」になる。
こんな風になってしまい、実はAメーカーの方がお得になっていることも少なくありません。
今回は住宅メーカーの「標準設備の考え方」と「大手メーカーの実際の設備」について解説します。
「標準設備」とは何を指すのか
住宅メーカーの設備は、大抵、
【高価格帯】
→性能とデザインバリエーションに優れる。標準として採用するメーカーはほとんど存在しない。
【中価格帯】
→性能はデザインのバランス良し。80%の施主はこの価格帯で満足する。大手ハウスメーカーを中心に標準として採用する。
【低価格帯】
→性能とデザインが最低限。ローコストハウスメーカーや建売住宅で主に採用される。
この3つに分けられます。
そして、「高価格帯」を標準採用するメーカーはほとんど存在しません。高級ハウスメーカーと呼ばれる「積水ハウス」や「住友林業」でさえも標準仕様は「中価格帯」なのです。
と言うのも、高価格帯を求める人はそんなに多くありません。
そのため、高価格帯を標準仕様にすると、建築費用の基準価格がハネ上がってしまう。そんな事態を避けるためにも、
「標準は中価格帯にして、必要な人だけオプションで対応する」
が正しい設定になるのです。
それでは、具体的な設備を見ていきましょう。
キッチン
キッチンは、どこのメーカーを選んでも価格別に3種類に分けられます。
人気のパナソニックで見ると、
【L-クラス】
→最高級キッチン。機能だけでなく、何十種類のも及ぶカラーやデザインに対応。
【ラクシーナ】
→ベーシックなキッチン。便利な機能を揃えていて、コスパは最も良い。
【V-Style】
→リーズナブルなキッチン。必要最低限な機能で、デザインのバリエーションも少ない。
こんなイメージ。
キッチンは比較的みんながお金をかけたがる設備です。そのため、中価格帯の「ラクシーナ」を中心に、高価格帯の「L-クラス」にランクアップする人も少なくありません。
また、キッチンには細かい設備も多く、
【食洗機】
→付ける or 付けない。付けるにしても「深型」か「浅型」か。
【水栓】
→タッチレス水栓、浄水器などの有無。
【流し台】
→ステンレスか人造大理石か。
【コンロ】
→ガスかIHか。トップはステンレスかホーローか。
などなど、挙げ始めればキリがありません。
ただ、基本的には「必要な人だけオプションで追加」と考えているメーカーが大半です。
そのため、最初から欲しい機能がある場合は、見積もりに入れてもらうようにしておきましょう。
お風呂
お風呂も、どこのメーカーを選んでも価格別に2~3種類に分けられます。
最大手のTOTOで見ると、
【シンラ】
→高価格帯。便利機能や豊富なデザインで、高級感抜群。
【サザナ】
→低価格帯~中価格帯。90%の人はこちらで満足する。コスパ良し。
こんなイメージ。
はっきり言って、お風呂にお金をかける人はあまりいません。「サザナ」の中で「シャワーヘッド」や「シルバーラック」などのオプションを付けることはあっても、「シンラ」を選ぶ人はほとんどいないのです。
洗面台
デザインによって価格が大きく変わるのが「洗面台」です。
洗面台も他の水回り設備と同じように価格帯で分けられますが、価格の内情は少し違います。
リクシルで見てみると、
【ルミシス】
→高価格帯。デザイン面は抜群だが、収納や掃除力などの機能性はLCに劣る。
【LC】
→中価格帯。機能洗面台としての利便性をメインに、質感を向上。
【ビアラ】
→低価格帯。機能性はあるが、デザインのバリエーションは少ない。
こんなイメージ。
洗面台への価値観は両極端です。
デザイン性を求める人は「ルミシス」にオプションを重ねますが、洗面台以上の機能を求めない人は「ビアラ」を選びます。
トイレ
トイレは、価格による違いがものすごく分かりやすい。
最大手のTOTOで見ると、
【ネオレスト】
→高価格帯。タンクレスデザイン。タンクがないと必然的に手洗い器(+設置スペース)も必要になるため、低価格帯の2倍近い費用がかかる。
【GG】
→中価格帯。タンクレス"風"デザイン。
【ピュアレスト】
→低価格帯。昔ながらのタンク付きデザイン。定価も安く、手洗い器も必要ない。加えて、省スペースで済むため価格は非常に安い。
こんなイメージ。
性能面でトイレにこだわる人は少ないものの、高級感はタンクレストイレの方が優れているため、
「1階トイレはタンクレス、2階トイレはタンク付き」
を標準仕様にしている住宅メーカーが多くなっています。
また、注文住宅のトイレについて詳しく知りたい方は以下のページをご覧ください。
-
注文住宅におけるトイレ考察まとめ|このページを1度だけ見ておけば、トイレで失敗することはなくなります。
注文住宅におけるトイレの情報を全てまとめたページです。 正直に言って、トイレなんて何日もかけて考えるものではありません。注文住宅においては、トイレよりも考えることが楽しいモノがたくさんあります。 きれ ...
続きを見る
玄関ドア
玄関ドアのランクは「断熱性」に依存します。
設備にしては珍しく、高価格帯と低価格帯のデザインバリエーションはほとんど同じなのです。その代わり、断熱性に関する区分分けがあり、
【D2/K2仕様】
→高価格帯。寒冷地向け玄関ドア
【D3/K3仕様】
→中価格帯。
【D4/K4仕様】
→低価格帯。
こんな風に分けられています。
温暖な地域ではさほど気にする必要はありませんが、冬の最低気温が0度を下回る地域では上位グレードを選ぶのが正解です。
窓
窓のランクは「断熱性」で決まります。
実は「住まいの熱は70%が窓から逃げる」と言われています。そのため、どれだけ良い断熱材を使っていても、窓が安物だと意味がない。
主に「サッシの種類」「ガラスの枚数」「ガスの種類」によってランクが分かれていて、
【サッシの種類】
→「樹脂サッシ」>「アルミ樹脂複合サッシ」>「アルミサッシ」
【ガラスの枚数】
→「トリプルガラス」>「ペアガラス」>「シングルガラス」
【ガスの種類】
→「クリプトンガス」>「アルゴンガス」>「乾燥空気」
この3つの要素の組み合わせによって窓の性能が決まります。
見た目の違いはほとんどないので断熱性を気にしない人は無視してもOKです。
ただ、やはり最低気温が0度を下回る地域では、なるべく良い窓を選ぶのが正解と言えます。
タマホームの「大安心の家」の標準設備をチェック
ここからはタマホームを具体例にして標準設備をチェックしていきます。
商品は主力の「大安心の家」です。
坪単価40万円~50万円という低価格ながら、水回りを中心とした設備は中位ランク以上のものが揃っています。
「全てにおいて最高」という訳ではありませんが、価格に対するコストパフォーマンスは非常に良いと言えるでしょう。
それでは、具体的な設備を見ていきましょう。
また、タマホームの標準仕様、標準設備についてもっと詳しく知りたい方は以下のページをご覧ください。
-
タマホームの標準仕様|「大安心の家」の標準プランをどこよりも詳しく解説
タマホームの標準仕様のコスパは100点です。 もちろん、ローコストメーカーですので、全ての仕様が最高級と言うわけではありません。性能面は平均的、設備とデザインは"中の上"と言ったところです。 ただ、価 ...
続きを見る
キッチン-中価格帯
キッチンは4社の低価格~中価格帯から選ぶことが出来ます。
具体的な商品は以下の通り。
- 【中】グランディア(タカラスタンダード)
- 【中】ステディア(クリナップ)
- 【中】ラフィーナ(永大産業)
- 【低】AS(リクシル)
ちなみに、他の設備にも同じことが言えますが、上記4つの商品は定価が違うにも関わらずタマホームでの導入価格は同じです。
タマホームに限らず、住宅メーカーは独自の導入価格を設定しています。
そのため、客の立場からすれば同じ価格でも、相対的にコスパの良い商品が存在してしまう。タマホームのキッチンで言えば、「グランディア」が最も定価が高く「AS」が最も定価が低い。
そのため、強い拘りがないのであれば「グランディア」がオススメです。
バスルーム-中価格帯
バスルームは3社の中位ランクから選ぶことが出来ます。
具体的な商品は以下の通り。
- アライズ(リクシル)
- サザナTタイプ(TOTO)
- FZ(パナソニック)
バスルームでコスパが良いのは「アライズ」と「サザナTタイプ」です。
洗面台-中価格帯
洗面台は3社の中位ランクから選ぶことが出来ます。
具体的な商品は以下の通り。
- MV(リクシル)
- シーライン(パナソニック)
- Vシリーズ(TOTO)
洗面台でコスパが良いのは「MV」と「シーライン」になります。
トイレ-中価格帯
トイレは2社の中位ランクから選ぶことが出来ます。
具体的な商品は以下の通り。
- ハーモJ タンクレス風(リクシル)
- ベーシア タンク付き(リクシル)
- NJ2 タンクレス(TOTO)
- ZJ タンク付き(TOTO)
トイレに関しては「NJ2」のコスパがぶっちぎりです。
玄関扉-低価格帯
玄関扉は「リクシル」「YKK」の中価格帯を標準としています。
- ジエスタ2 (リクシル)
- ヴェナード(YKK)
この2つに関しては定価も同じ、機能もほぼ同じなので好みで選んで大丈夫です。
窓-低価格帯~中価格帯
窓は「リクシル」「YKK」の中価格帯を標準としています。
【リクシル】
商品名「シンフォニー」アルミ樹脂複合サッシ+ペアガラス+乾燥空気
【YKK】
商品名「エピソードNEO」アルミ樹脂複合サッシ+ペアガラス+乾燥空気
こちらに関しても、上記どちらを選んでもほぼ違いはありません。
まとめ
標準設備は、住宅メーカーによって大きく変わります。
そのため、Aメーカー(建物価格2000万円)とBメーカー(建物価格1600万円)を比べたとき、一見Bメーカーの方がお得に見えても、
【Aメーカー】
→設備は全て最高グレード。必要なものは全て「標準設備」に入っている。
【Bメーカー】
→設備は全て最低グレード。必要なものは「オプション扱い(プラス600万円)」になる。
こんな風になってしまうことも少なくありません。
もし、住宅メーカーの標準設備を見比べたいのなら、ライフルホームズなどの大手カタログ請求サイトで地域の住宅メーカーの資料を集めてみてください。
面倒な営業を受けることなく、気になる住宅メーカーを比較することが出来ます。