資産価値の高い家は大きく分けると2つです。
- 築20年前後の中古一軒家
- 駅近の築10年前後のマンション
難しいことは考えずに、この2種類のどちらかを選べば損をする可能性はほとんどありません。
ただ、「将来の資産価値」なんて誰にも断言は出来ないものです。
ひと昔前までは「新築のマンション」なんて贅沢品の象徴でしたが、東京の湾岸タワーマンションで新築より値上がりしている物件は数えきれない。反対に、戦後60年続いた一軒家信仰も薄れ始めています。
だけど、なるべくシンプルに考えましょう。
今回は「資産価値の高い家」をなるべく簡単に解説します。
資産価値の高い家の基礎知識
「資産価値の高い家」には3つのポイントがあります。
- 新築の家は割高
- 築20年が最もおトク
- 欲しい人がいないと意味がない
それでは、1つずつ詳しく解説します。
【注意】
この3つのポイントは「基本」です。
原理上は正しいのですが、不動産価格は需要と供給によって成り立つため100%基本通りに動くとは限りません。ただ、基本を覚えておかないと、応用することも出来ないのでお忘れなく。
新築の家は割高である
住宅に限らず「新品」は割高です。
車やブランド品も同じですよね。300万円で買った車でも、次の日に売れば250万円になってしまう。
日本において「1度、人の手に渡ったもの」は価値を下げてしまうのです。
住宅に関しても同じ。
不動産用語では「新築プレミアム」と呼ばれ、日本の新築物件には約20%のプレミアム価格が載っているのです。
極論を言えば、4000万円で買ったマンションは、次の日に売り出しても3200万円の価値しかない。
それでも、日本人は新築の家が大好きです。
築20年が最もおトク
設備の価値は20年でゼロになります。
例えば、ここに新築4000万円の一軒家があります。建物と土地の価格は以下の通り。
【令和元年の価値】
建物:2000万円
土地:2000万円
合計:4000万円
当たり前の話ですが、建物の価値は時間の経過とともになくなっていきます。外壁や屋根はだんだんと汚くなり、キッチンやバスルームは不具合が出てくる。
永遠に使えるモノなんてありませんから、段々と価値がなくなっていくの当然ですよね。
建物においては「20年でゼロになる」を基本とします。
そのため、新築プレミアムや土地価格の変動をないものとすれば、20年後には、
【令和20年の価値】
建物:0円
土地:2000万円
合計:2000万円
こうなってしまうのです。
ところが、土地の価格は基本的に変動しないため、21年目からは価値は下がりません。購入から40年後は、
【令和40年の価値】
建物:0円
土地:2000万円
合計:2000万円
こうなります。
マンションも基本的には同じ。新築時から20年目までは急激に価値が下がり、21年目からは横ばい、或いは緩やかに下降します。
そして、20年で設備価値はゼロになるものの、実際にはまだまだ使えることが多い。
そのため、一軒家でもマンションでも「築20年」が最もお買い得なのです。
欲しい人がいないと意味がない
不動産価格は「需要と供給」によって成り立っています。
例えば、次の2種類の家があったとしましょう。両方とも鑑定価値は同じ「4000万円」です。
一般的に価値が高いのは前者の「シンプルモダンのベーシックハウス」です。
なぜなら後者の「プロバンス風のヨーロピアンハウス」を欲しがる人は非常に少ないから。
おかしな話だと思うかもしれません。土地も同じ、建物にかけたお金は同じでも、実際に欲しがる人がいないと販売することは出来ないのです。
鑑定価格は同じ「4000万円」でも、前者はすぐに買い手が付き、後者はずるずると値下げしていって3000万円近くでやっと買い手が見つかるでしょう。
同じ理由で「欲しい人がいないと意味がない」というポイントはいくつもあります。
【価格】
→2500万円~4000万円が最も人気。6000万円を超えると、中古で買う人は格段に減る。
【土地】
→不便な郊外の広い土地より、利便性の高い駅前の狭い土地。
【イメージ】
→土地の人が持っている「ヤンキーの街」や「ガラが悪い」など。
「同じ値段の家」でも、これらのポイントによってずるずると値下げせざるを得ない状況になることも少なくないのです。
資産価値が高い具体的な3つの家
これまでに紹介した3つのポイント、
- 新築の家は割高
- 築20年前後がおトク
- 欲しがる人が多い家
これらをベースにして、具体的に資産価値の高い3つの家を紹介します。
【建売の場合】
→築20年前後の一軒家。きれいな街並みの方が望ましい。
【マンションの場合】
→築10年前後の駅近マンション。70㎡~80㎡の3LDKが基本。
【注文住宅の場合】おまけ
→建物にお金をかけないシンプルな家。価格の土地比率が高いとなお良し。
それでは、1つずつ詳しく解説します。
築20年前後の建売
「築20年前後の建売」は、資産価値の高い不動産の基本です。
先に紹介した、
- 新築時は割高
- 設備の価値は20年でゼロ
- 欲しがる人が多い家
この3つをきっちり満たすため、土地だけの価格で住宅を手に入れることが出来ます。
おまけに、何年後に売ったとしても、購入時と同じ価格で売却できる可能性が高い。何年住んでも「家賃ゼロ」で暮らせるイメージなのです。
ただ、実際には多少リフォームが必要になります。
快適に暮らすためには「お風呂」や「トイレ」などの水回りに手を入れた方がベター。
それでも、新築建売を買うよりかは遥かに優秀なコストパフォーマンスを実現できます。
駅近の築10年前後のマンション
マンションならば「築10年前後」が狙い目です。
本来であれば、一軒家と同じく「20年前後」が基本なのですが、マンションの資産価値は「需要と供給」が占める割合が多くなります。
分かりやすく言えば、
「駅近の便利なマンションは値下がりしづらい」
のです。
新築プレミアムを捨て、築10年を超えたあたりからマンション価格は下げ止まりが起こります。
長い目で見れば人口の都市部への集中は必ず起こるため「駅近の便利な中古マンション」は間違いのない選択なのです。
反対に「駅から遠い、不便なマンション」は目も当てられません。
建物にお金をかけない注文住宅
注文住宅で資産価値を重視するなら「安い家」です。
正直に言えば、注文住宅は資産価値とは真逆の位置にあります。ありとあらゆるモノを新品で揃える上に、設計料や各種手数料までかかるなんて、資産価値の観点から見ればあり得ない選択です。
ただ、当サイトは注文住宅の解説サイト。
そのため、強いて「資産価値の高い注文住宅」を考えるのであれば、次の3つを意識してください。
【ローコスト系】
→タマホームなどで「安い家」を建てる。建物の価値は20年でゼロになるため、ここにお金をかけると資産価値とは遠くなる。
【土地にお金をかける】
→土地の価値は不変。20年でゼロになる建物とは違い、何十年たっても一定の価値がある。
【無難な間取り】
→ベーシックな3LDKや4LDKなら欲しがる人が多い。大きすぎる家や、小さすぎる家を欲しがる人は少ない。
この3つを覚えておけば、「資産価値の高い注文住宅」をある程度実現することが出来ます。
まとめ
住宅の資産価値を考えるとき、覚えておきたいポイントは次の3つ。
- 新築の家は割高
- 築20年が最もおトク
- 欲しい人がいないと意味がない
以上を前提に、具体的にはこんな物件を狙ってみましょう。
【建売の場合】
→築20年前後の一軒家。きれいな街並みが望ましい。
【マンションの場合】
→築10年前後の駅近マンション。70㎡~80㎡の3LDKが基本。
【注文住宅の場合】おまけ
→建物にお金をかけないシンプルな家。価格の土地比率が高いとなお良し。
ただ、「資産価値」と「満足感」は別の考え方です。
資産価値の基本を守るのであれば、大手ハウスメーカーで建てる注文住宅なんて論外。しかし、
「自分の好きな新築の家に住む」
と言うのは、お金では測れない満足感を得ることもあるのです。
資産価値の考え方ももちろん大切ですが、旦那さんと奥さんで価値観のズレが生じることはよくあります。
不動産購入の際には、家族の考え方を擦り合わせておくのがオススメです。