住宅にかける予算は「月々の返済額」から考えるのが簡単です。
住宅ローンを組んだ場合、
【35年ローン金利0.7%の場合】
6万円/月 :2200万円
8万円/月 :3000万円
10万円/月:3800万円
12万円/月:4500万円
14万円/月:5200万円
16万円/月:6000万円
【35年ローン金利1.5%の場合】
6万円/月 :1900万円
8万円/月 :2600万円
10万円/月:3300万円
12万円/月:3900万円
14万円/月:4600万円
16万円/月:5200万円
金利は銀行や属性にも依りますが、正社員で働いているなら「変動金利0.7%」は充分に狙えます。
令和の住宅購入では頭金を用意しない方が賢いので、
借りる金額≒住宅予算
と考えても問題ないのです。
それでは、上記の表をベースに住宅にかける金額の考え方を解説していきます。
家を買うときの予算の考え方
大前提として家の予算は「人それぞれ」です。
一般的には「年収の4倍~8倍のローンを組む」と言われていますが、これはあくまでも目安。
同じ土地に先祖代々住んでいる人は豪華に作る傾向にありますし、反対に、都市部に住む人はライトな作りにすることが多い。
両親の面倒を見る人は住宅に大きな予算をかけられず、反対に、援助をしてもらえる人はワンランク上の住宅を購入します。
大きな金額だからこそ、本当に答えは「人それぞれ」なのです。
以上を前提に、住宅購入の予算を決める3つのポイントを紹介します。
【自己資金+借入額が予算になる】
→予算から考えると住宅購入は分かりやすい。また、近年は自己資金を用意せずに、全て借入で住宅を購入する人が多い。
【借入額は毎月返済額から考える】
→3000万円35年ローン(金利0.7%)で約8万円/月。このあたりを基準に、どこまで出せるか考える。
【両親からの援助を確認しておく】
→700万円までの援助は税金がかからない。相続よりも遥かにおトクなため、両親が援助してくれるなら必ず確認しておく。
それでは、1つずつ詳しく解説しています。
「自己資金」+「借入額」が予算になる
最大予算を最初に決めておくと、住宅購入はスムーズに進みます。
そして、大抵の人は住宅購入に「銀行からの借入」を利用します。職業や勤め先によって異なりますが、大体、年収の5倍~8倍あたりが借入の限度額になります。
ここに「自己資金」を足したものが『総予算』です。
ただ、2010年以降の住宅購入においては「自己資金(頭金)」を使わない方が賢い。超低金利時代においては、住宅ローンの総額を減らす意味があまりないのです。
例えば、バブル期には金利8.0%の時代もありました。
現代の金利0.7%と比較すると、総返済額は以下のようになります。
【金利8.0%で4000万円を借りる】
月々の返済額:28万円
35年間の総返済額:1億1932万円
【金利0.7%で4000万円を借りる】
月々の返済額:11万円
35年間の総返済額:4494万円
金利の力って、えげつないですよね?
だからこそ、ひと昔前は「自己資金を入れて、借入額を減らす」が定説だったのです。しかし、現代は超低金利時代が始まり「住宅ローン減税」という減税制度もできました。
そのため「住宅購入は借入だけで、余剰資金は運用に回す」が正解になりました。
【住宅ローン減税とは】
住宅ローンの残高によって所得税を減額する制度。
細かいことを除けば「残高×1%」が10年間税金から免除される。そのため、自己資金があるのならば、11年目から繰り上げ返済する方が賢い。
ただ、銀行側としては「貯金がゼロの人」を嫌う傾向があります。
住宅購入に使う必要はありませんが「貯金100万円」くらいは持って審査に向かいたいところです。
「借入額」は毎月返済額から考える
「いくら借りるのか」は、毎月の返済額から逆算するのがオススメです。
先ほど紹介した「年収×5倍~8倍」は「銀行から借りられる上限額」です。何にお金を使うのかは人それぞれですので、「借りられる上限額」のマックスまで借りる必要はありません。
金利によって返済額は異なりますが、大体、以下のようなイメージ。
【35年ローン金利0.7%の場合】
6万円/月 :2200万円
8万円/月 :3000万円
10万円/月:3800万円
12万円/月:4500万円
14万円/月:5200万円
16万円/月:6000万円
【35年ローン金利1.5%の場合】
6万円/月 :1900万円
8万円/月 :2600万円
10万円/月:3300万円
12万円/月:3900万円
14万円/月:4600万円
16万円/月:5200万円
あなたが住宅費に毎月いくら出せるのかを考えてみてください。
「8万円くらい…」ならば、借入額の基準を「3000万円」に設定してください。
「いや、あんまりお金使わないし、12万円はいけるな…」ならば、4500万円以上借りても大丈夫です。
また、上記の一覧を見れば分かるように、金利によって月々の負担額は大きく変わります。あなたへの金利は銀行によって異なるので、「住宅ローン審査サービス」などを使って、しっかりおトクな銀行を見つけておくことが大切です。
両親からの援助を確認しておく
住宅購入は、ご両親からの援助を受ける最良のタイミングです。
と言うのも、住宅購入に関する資金援助には贈与税がかからないのです。タイミングや住宅の種類にもよりますが、少なくとも700万円までは非課税になります。
失礼ながら、日本人は相続が本当に下手くそです。
90歳で亡くなって、60歳の子供に遺産を残すのは効率が悪い。本当に援助が必要なのは20代,30代の時であって、住宅購入はまさに絶好機なのです
親族とお金の話をするのは気が向かないかもしれませんが、もし、ご両親に援助の意向があるのなら確信しておくことをオススメします。
家とマンションに分けた予算平均
「一軒家」を買うのか「マンション」を買うのかで予算平均は異なります。
また、「一軒家」の中でも「注文住宅(家をイチから作る)」と「建売(完成している家を買う)」では異なります。
そこで今回は、以下の3つに分けて一般的な予算を解説します。
【注文住宅】
→全国平均は「4039万円(土地+建物)」「3356万円(建物のみ)」 ただ、注文住宅には1億円を超える大豪邸が平均予算を押し上げるため、実際はもう少し低くなる。
【建売住宅】
→全国平均は「3368万円(土地+建物)」 注文住宅に比べると15%ほどは購入価格は下がる。
【マンション】
→全国平均は「4348万円」 一軒家に比べると売却しやすいため、やや予算オーバーの価格でも購入する人が多い。
それでは、1つず見ていきましょう。
注文住宅一戸建ての予算平均
全国平均は「4039万円(土地+建物+諸費用)」です。
注文住宅を建てる場合は、
- 土地
- 建物
この両方が必要になります。建物価格は全国どこで建てても変わりませんが、土地の値段は都市部と地方では雲泥の差です。
都道府県別に全国平均を出すと、都市部と地方の差が見えてきます。
注文住宅(土地+建物)の平均予算
-金額トップ5
東京都:5592万円
神奈川:4869万円
大阪府:4264万円
埼玉県:4336万円
兵庫県:4200万円
-金額ワースト5
島根県:3051万円
秋田県:3060万円
宮崎県:3312万円
岩手県:3328万円
青森県:3379万円
ちなみに、建物だけ(土地を持っている場合)の全国平均は「3356万円」です。
建物の価格差は「広さ」に依る部分が大きい。
もちろん、設備や内装でも値段は変わりますが、最も影響するのは「広さ」なのです。そのため、建物だけの金額を見れば、都市部と地方の間で大きな差は生まれていません。
注文住宅(建物のみ)の平均予算
-金額トップ5
東京都:3936万円
神奈川:3699万円
愛知県:3580万円
大阪府:3529万円
滋賀県:3517万円
-金額ワースト5
島根県:2812万円
鹿児島:2824万円
宮崎県:2865万円
青森県:2918万円
群馬県:2986万円
また、注文住宅の予算に関しては以下のページで詳しく解説しています。興味のある方は、こちらもご覧ください。
-
注文住宅にかかるお金の考え方|実際の見積もりを見ながら家を建てるための予算を解説
注文住宅にかかるお金は「建物代」「土地代」「諸費用」の3つです。 具体的な金額は人それぞれ。 建物は安ければ1500万円ほどに抑えることも可能ですが、誰もが羨む豪邸ならば1億円でも足りません。土地代は ...
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建売住宅の予算平均
全国平均は「3368万円(土地+建物+諸費用)」です。
建売は、建物が完成している状態で、土地ごと購入する形になります。
注文住宅に比べると自由度は低く、設備ランクも下がるものが多くなりますが、一軒家としては割安な価格帯で購入することが可能です。
地域別の価格帯は以下の通り。
【建売住宅の平均予算】
全国平均:3368万円
首都圏;3669万円
近畿圏:3196万円
東海圏:2826万円
その他:2752万円
注文住宅に比べると、15%ほど安くなっているのが分かります。
言い方は悪くなりますが、一軒家を購入する上では、
「4000万円以上ならば注文住宅、それ以下ならば建売住宅」
と考えるのが基本になるのです。
マンションの予算平均
全国平均は「4348万円」です。
注文住宅、建売住宅と比べても強気な価格になっているのが特徴と言えます。
理由は非常にシンプルで、
「ある程度の都市部にしかマンションは存在しない」
からです。
当たり前の話ですが、地方の田んぼの真ん中にマンションが建つことはありません。そのため、マンションは、
「ある程度地価の高いところにしか建たない≒販売価格が高くなる」
と考えることが出来ます。
地域別の価格帯は以下の通り。首都圏が突出して高いのが分かります。
ちなみに、東京23区の新築マンションに関しては、平均価格6000万円(58㎡)と一般庶民では手の届かないラインまで達しています。
まとめ
住宅購入の予算は「月々の返済額」から考えるのが基本です。
【35年ローン金利0.7%の場合】
6万円/月 :2200万円
8万円/月 :3000万円
10万円/月:3800万円
12万円/月:4500万円
14万円/月:5200万円
16万円/月:6000万円
【35年ローン金利1.5%の場合】
6万円/月 :1900万円
8万円/月 :2600万円
10万円/月:3300万円
12万円/月:3900万円
14万円/月:4600万円
16万円/月:5200万円
ただ、欲しい家が決まる前からきっちり予算を決める必要はありません。
物件を探し始めればもっと安い家があるかもしれない。不動産会社の方に相談してみると、あなたの想定よりも予算を出せるかもしれない。
ある程度の金額を決めておいて、あとは、物件を探しながら柔軟に対応していくのがオススメです。